地に足を付ける

どんな建物でも倒壊せずに建っているのは強固な基礎のおかげです。どんなに見栄えの良い建物でも、基礎がしっかりしていなければ、安全に住むことはできないし、快適に暮らすこともできません。
ヨガにはチャクラという概念があります。背骨の下端にある一番下のチャクラであるルートチャクラを活性化させることがまず重要視されます。それは生命力であり、生命の根源であり、活力に繋がっています。足をしっかりと地面に押しつけ、しっかりと立つことで、ルートチャクラが活性化され、力がみなぎるのです。私のヨガクラスでは、立ちポーズの最も基本である山のポーズを省略した事はありません。力強く立ってもらう為だけでなく、自分の全身に意識を張り巡らせてもらう為でもあります。クラスの度に何度も同じ事を聞かされてうんざりしている人もいるかもしれませんが、地にしっかり足をつける事、山のポーズ、全身への意識をおろそかにすると、他のポーズが上達することはないと思います。

現代人の多くは、身体的にも精神的にも、しっかりと地に足がついていない様に見えます。頭や思考ばかりに気を取られ、頭でっかちで風が強く吹けば飛んでいってしまいそうな不安定な精神と肉体に見えます。

年をとると、最初に弱くなるのは足腰で、膝が伸びなくなり、腰も曲がってきてしまいます。足腰が弱くなると体のすべてが弱くなり、衰えます。精神的な活力もなくなってくるでしょう。地面を土を踏む力が弱くなると、土が近づいてきて、土に帰っていくのです。誰しも死は避けられませんが、死ぬ間際まで2本の脚で立っていられる強さが欲しいものです。